スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

予防と早期発見

予防か早期発見か。
しばしば並列で比較されることのあるこの2つですが、実際には別のものですよね。

予防は未然に防ぐこと、感染症であれば感染しない、感染しても発症しない、ということ。
早期発見は未然に防ぐのではなく、感染したり発症したりしたものを早期に見つけること。

早期発見により早期に治療を開始できれば、望ましくない予後を避けられる疾病もあります。
しかし残念ながら、早期発見・早期治療でも、重症化したり望ましくない予後をたどる疾病もあります。

ヒブワクチン・小児用肺炎球菌ワクチンの定期接種化を求めて活動していた時に、細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会の武内一先生が、同会の会員を中心にアンケート調査を行いました。
発症から診断がつき治療が開始されるまでの時間と、予後にどの程度の関連があるのか、そのアンケートの結果が示したものは、早期発見・早期治療が実現できても、少なくない割合で悪い予後をたどるケースが生じているという現実でした。

また、細菌性髄膜炎は主な症状が、発熱・嘔吐・頭痛であり、他の感染症との鑑別が難しいという特徴があります。
好発年齢も0歳であり、発熱や嘔吐はわかりますが、頭痛などは本人が伝えることが困難です。
頚部の硬直などの特徴もありますが、最終的な診断には髄液の検査が必要になります。
脊髄から髄液を採取するので、その行為自体に相応のリスクが伴います。
特異的な症状を呈しておらず、可能性としてはその他の重篤ではない疾病であることのほうが高いにもかかわらず、リスクを伴う髄液採取を行うことは現実的ではありません。

また、治療においても耐性菌の割合が著しく高まっていたこともあり、早期に発見し菌種を特定し適切な抗生剤の投与を早期に開始したとしても困難な状況に陥るケースが生じていました。
早期発見も難しく、そのために早期治療も難しく、仮に早期に治療を開始しても悪い予後を十分に避けられない、それが細菌性髄膜炎です。
そのため、予防することが強く求められたのです。

予防接種の是非を考える場合に、疾病に罹患するリスクと予防接種をするリスクを比較します。
いずれのリスクも軽視してはなりませんし、事実に基づき適切に評価しなくてはなりません。

疾病に罹患するリスクは、しばし、死亡という最悪の結果をもって評価されることがあります。
もちろん、死亡することはなんとしても避けなくてはならないものですが、疾病に罹患するリスクはそれだけではありません。
治療によるリスクや治療後も残る不利益の有無なども、罹患するリスクです。
細菌性髄膜炎の場合であれば、治療には多量の抗生剤やステロイド剤を用いますし、場合によっては輸血等を要することもあります。
治療そのものにリスクが伴うのです。

治療後に残る不利益も、罹患することで被るリスクです。
疾病によっては長きにわたり服薬を続けなければならないものもありますし、早期の治療でも手術などの結果、後遺症とずっと付き合い続けなければならないものもあります。
早期発見・早期治療で罹患前の状態に回復できれば良いのですが、そのような疾病ばかりではありません。
死亡という最悪のリスクだけではなく、早期発見・早期治療でも負うリスク、回避できないQOLの低下等を十分に理解したうえでいずれのリスクを選択するのか、判断しなければなりません。

早期発見・早期治療でも、何らかの不利益を残しているケースは少なくありません。
しかし、そうした不利益は、第三者からはなかなか見えにくく、一見すると元通りに生活しているように見えることもあります。
当事者の方々の声を聴くことは、事実を知るためにはとても大切なものです。
例えば、がん患者さんなどが治療を続けながら就労等で不利益を被らないように、また後遺症などを負っていても従来の生活に近づけられるように、当事者の方々を中心に様々な取り組みがなされています。
そうした取り組みが実を結べば結ぶほど、逆に当事者の方々が抱え続けている不利益は見えにくくなるという面があります。
抱えている不利益自体は存在し続けているのに、です。
そのことが、一見すると罹患する前の、元通りの状態に戻ったという誤解を生み、「死ななければよい」という誤解につながり、罹患することのリスク評価を狂わせてしまうこともあります。
そうした誤解を生じないように、私たちは当事者の方々の声を聴き続けなくてはならないと考えます。

Plus Action for Children は小さな組織で大したことはまだまだできないのですが、そうした当事者の方々の声を聴ける機会を設け、適切な判断ができるようにと考えています。
そうした活動にご理解をいただき、ご支援いただけたら嬉しいです。
スポンサーサイト
プロフィール

+afc

Author:+afc
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Donation(寄付)
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。