10月30日(火)、+Action for Childrenは三井辨雄厚生労働大臣と厚生労働大臣室で面会し、「
NPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会」、「
ムコネット Twinkle Days」、「
ポリオの会」、「
一般社団法人 細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会」、「
細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会・支援ネットちば」、「
先天性代謝異常症の子どもを守る会」、「
胆道閉鎖症・乳幼児肝疾患 母の会『肝ったママ’s』」と共同で、「VPD(ワクチンで防げる病気)から子どもたちを守るための予防接種法改正に関する要望書」を提出、予防接種法改正の早期実現を要請しました。この要請は、田名部匡代衆議院議員(民主党)の紹介により実現したもので、田名部議員は、同じく民主党の仁木博文衆議院議員とともに大臣要請に同席してくださいました。
11時45分から始まった面会では、冒頭、「NPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会」理事長の薗部友良先生が、要望の主旨を説明し大臣に要望書を提出。また、日本小児科医会から託された同様の主旨の要望書も手渡しました。薗部先生の趣旨説明に続き、小児科医の細部千晴先生が、ご自身が理事を務められる東京保険医協会の調査結果等をもとに、都内でヒブ、小児用肺炎球菌、HPV(ヒトパピローマウイルス)の3ワクチンの接種において数千円の自己負担を徴収している区と、無料で接種できる区市の接種率等への影響を紹介し、格差無き接種環境の構築には全ての子どもたちが無料でワクチン接種を受けられる環境整備が不可欠と訴えました。続いて細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会副代表で佛教大学教授の武内一先生が、ワクチン接種後の有害事象報告について資料を手に解説。乳幼児突然死症候群(SIDS)の発生頻度などを紹介しながら、冷静な分析と適切な対応の必要性を強調しました。患者会の賛同団体からは、「(VPD罹患という)つらい思いをこれ以上子どもたちに繰り返して欲しくない」「一日も早い定期接種を」等、切実な声が寄せられました。
これに対し三井厚生労働大臣は、要望に理解を示すとともに、法案提出に前向きな姿勢を示しました。同席した仁木博文衆議院議員は「政局で左右される案件では無い。このような国民の思いに手を差し伸べるのが民主党政権だったはず」とし、田名部匡代衆議院議員は民主党政権成立後、長妻昭・小宮山洋子厚生労働大臣への要請を重ねてきた経緯を踏まえ、「こうして皆さんに何度も足を運ばせてしまうことが本当に申し訳ない」とし、仁木議員とともに予防接種体制の充実を速やかに実現すべきとの考えを示しました。また、正林督章結核感染症課長も、要望に応えるべく予防接種法改正に臨む旨の決意を表明されました。
面会終了後は厚生労働省内で記者会見を開き、要請の内容や大臣の反応などを報告するとともに、VPD被害の現状や予防接種によるVPD予防の実態等、保護者が予防接種に際し判断のもととできる情報提供等をメディアの方々に要望しました。また、賛同団体のひとつ、ムコネット Twinkle Daysの中井麻里代表は「難病を抱えている子どもたちの中には、予防接種を受けられない子どももいる。皆が予防接種を受けることで、やむを得ず予防接種を受けられない子どもたちをVPD守って欲しい」と訴えました。
会見終了後も個別に取材に対応する姿が見られ、メディアの方々の関心の高さがうかがわれました。なお、当日の様子は「キャリアブレイン」や「じほう」等がいち早く報じるとともに、TBSNEWSiで放映されました。
今回の要請は、先行きの見えない国会情勢の中、予防接種法改正案の上程・審議・成立の姿が一向に見えてこないことに危機感を募らせた有志が、「今一度、大臣にお目にかかって法案成立を養成しよう」と考えたことから始まりました。中心となったのは「希望するすべての子どもたちにワクチンを」パレードの吉川恵子実行委員長と「VPDを知って、子どもを守ろうの会」の薗部友良先生をはじめとする理事と事務局の方々。要望書の作成、賛同団体からの意見集約、日程調整、メディアへの取材依頼等、短期間のうちにまとめ上げてくれました。
私の長男がヒブによる細菌性髄膜炎に罹患してから既に8年が経過しています。あの当時、世界の標準は「ヒブ感染症はヒブワクチンで防ぐ」であり、日本以外の諸外国の殆どが無料でヒブワクチンを接種できる状況にありました。一方、我が国では未だに定期接種に位置付けられず、費用助成制度が拡充されてきましたが、それでも東京23区に代表されるように無料で接種を受けられない地域もあり、そのことが子どもたちを接種が受けられない状況に置き続けています。
厚生労働省の予防接種部会では、既にヒブワクチンをはじめとする7つのワクチンの定期接種化を提言しています。後は、法案に書き込み実施するだけの状況です。実現までに時間をかければかけるほど、ワクチンで防げる疾病に罹患し、つらい思いをしたり後遺症を残したり、命を失ってしまう子どもたちが生じ続けます。仁木議員が「不作為による被害」と指摘された通り、私たち大人の不作為による犠牲を子どもたちに強いることに他なりません。
希望するすべての子どもたちが無料で予防接種を受けられるように、そしてVPDから守られるように、私たち大人が協力して一日も早く子どもたちを守れる環境を整えなくてはいけないものと考えます
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