罹って抗体をつけるのはお勧めしません

こんにちは、木曜日担当のPlus Action for Children 高畑です。

新年度が始まり、何かと賑やかな時間を過ごされている方も多いと思います。

桜の花も関東では今週末が今シーズン最後の花見チャンスのようで、少しだけでも時間を作ってみてこようかなと思っています。

さて、10月からはB型肝炎ウイルスワクチンが定期接種化されるなど、年々定期接種の数も増えています。

我が家が子育て中には、ヒブ、小児用肺炎球菌、HPV(女子だけですが)、水痘は定期接種ではありませんでしたし、長男の時には水痘以外はワクチンそのものが我が国では承認されていませんでした。

ポリオも経口生ワクチンでしたが、現在は不活化ワクチンとなり、ワクチン由来のポリオ感染のリスクからは介抱されましたが(時間がかかりましたね)、接種回数は増えています。

これらをすべて単独で接種しようとしたらとてもじゃありませんが、接種しきれません。

子どもたちが予防接種による抗体を十分に獲得してVPD(Vaccine Preventable Diseases:ワクチンで防ぐことのできる疾病)から守られるためには、適切な時期に速やかに接種を受ける必要があります。

単独接種では時間がかかりすぎますよね。

そこで、混合製剤や同時接種の活用が大切となるのですが、しかし現状ではまだまだ混合製剤の導入は我が国では不十分ですし、同時接種を活用しても何度も接種のために医療機関に足を運ばなければならない状況には変わりありません。

そんな状況のためか、たまに「全ての定期接種を受けるのは大変なので、一部だけを受けたいのだけど」という相談を受けることがあります。

しばしば言われるのが「ヒブや肺炎球菌、ポリオは罹ったら大変だから受けるけど、麻疹や風疹、水ぼうそうは感染しても治療すれば大丈夫そうだから接種を見送ろうと思う」というもの。

VPDの重篤性や後遺障害を負うリスク等が高めのものだけを受けて、感染者の大半が軽症で済んだり適切な治療を受けることで回復するような疾病は受けない、ということのようです。

そして、「もしそれで麻疹や風疹、水ぼうそうに罹ったら、それはそれで予防接種よりしっかりした抗体を身につけられるからそれで良い」とも。

うーん...。

予防接種は個体を守ることに加え、集団免疫=社会全体で感染症を防ぐという意味合いもありますから、そういった選択はしないで欲しいな、と。

それと、もうひとつ、「自然罹患し回復すれば、予防接種を受けるよりも、結果としては良かった(より強い抗体を獲得できた)」という考えには、やはり賛同できないんですよね、私は。

予防接種を受ける手間隙とリスク、感染して治療を受ける手間隙とリスク、を比べたら、圧倒的に前者の方が小さいと思うことが第一。

第二に、感染したことで更なる疾病発症等のリスクを背負ってしまうことがあるからです。

水ぼうそうのウイルスが体内に残っていて、成人後に帯状疱疹を生じることは、最近では多くの方々もご存知のことと思います。

あまり知られていないことですが、麻疹(はしか)にも同じような疾病があり、これはSSPE(亜急性硬化性全脳炎)という疾病があるのです。

また、B型肝炎ウイルスも最近ではキャリアではないと考えられていた患者さんが、リウマチの治療薬や免疫抑制効果を伴う薬剤治療を行うことが、肝臓内でウイルスの活動を再び活発にし肝炎を生じるケースが増えていることも指摘されています(特定非営利活動法人 日本小児肝臓研究所のホームページで解説を読めます)。

これらのリスクは、自然罹患で抗体をつける場合にのみ伴うリスクであって、予防接種によりVPD罹患を防ぐことで回避できるリスクです。

こうしたことを考えると、私は「自然罹患し回復すれば、予防接種を受けるよりも、結果としては良かった(より強い抗体を獲得できた)」という考えには、やはり賛同できません。

子育て中、頻回にわたる予防接種はなかなか面倒くさいものでありますし、回数を減らせるものなら減らしたいという気持ちは良くわかります。

ただ、その気持ちは、必要な定期接種を回避することで減らすのではなく、混合製剤の早期承認・導入を求め実現することや同時接種の活用等に向けて欲しいと思います。

繰り返しになりますが、定期接種化されている疾病で、自然罹患したほうが良いものはありませんよ。



2016年4月7日
ムコネットTwinkle Days 命耀ける毎日」に掲載

2016年4月7日
ハフィントンポスト日本版」に転載
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