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「風疹に関する追加的対策」にとどまらない行動を

去る12月13日、第25回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会・第28回厚生科学審議会感染症部会が合同開催され、喫緊の課題である風疹対策について具体案が示されました。

私は今回の確認内容は、現在の流行や予防接種に係る諸種の事情を鑑みれば、前向きに捉えて良いものだと考えています。
ただし、この対応では望ましい対策にはまだまだ至らないことを忘れてはならないでしょう。
メディアでも今回の対応については盛んに報じられていますが、「定期接種」という言葉が目を引くあまり、他の乳幼児の定期接種のように定期接種による予防策で概ね十分な対応であるとの誤解が生じるのではないかと危惧します。

風疹の流行を繰り返さないための策としては、接種歴が確認できない場合はワクチンを接種することが最も確実だと考えています。
しかしこの策は、考えうる策の中でもより多くのワクチンを必要とする策であり、現在のワクチンの供給状況を考えると実行に伴うハードルが高いものといえます。
MRワクチンの供給量は、定期接種の対象となっている乳幼児の需要+αとなっており、その数は非常に限られています。
ワクチン製剤は短期間で大幅に増産できるものでもなく、この限られた供給量の中でしか策を講じられません。
故に、今回のように抗体価の測定を前置し、十分な抗体を有しないと確認したうえで定期接種の対象としてワクチンを接種するという2段階の策となったのです。
この2段階の策は、限られたワクチンを有効活用するという点では有効ですが、本来の感染症予防からすればワクチン接種に至るまでに余計に時間も費用も掛かりますし、接種率の向上という目的からは非効率的なものです。

また、今回の冒頭の会議で示された「風しんに関する追加的対策に係る技術的事項について(案)」では、接種対象は「風しんの定期接種の対象となる抗体価はHI法で8倍未満」とされていますが、これは風疹の予防としてはかなり対象を限定したものです。
厚生労働省が示す「予防接種が推奨される風しん抗体価について(HI法)」では32倍以上が「風しん含有ワクチンの接種は、基本的に必要ありません」とされるものであり、8倍・16倍は「過去の感染や予防接種により風しんの免疫があり、風しんの発症や重症化を予防できると考えられます。確実な予防のため、風しん含有ワクチンの接種を希望される方は、かかりつけ医等と接種についてよく御相談されたい」とされ、さらに「妊娠を希望する女性など、より確実に予防を行う必要がある方」については、8倍・16倍は「確実な予防のため、風しん含有ワクチンの接種を推奨します」とされています。
つまり、風疹を確実に予防するためには「8倍・16倍」の場合も、接種を検討したほうが良いということです。
今回の策では「8倍未満は定期接種」となりますが、定期接種の対象とならなかった場合は「接種する必要がない」との誤解が生じる可能性があります。「定期接種は必要な接種、任意接種は必要ない接種」という予防接種によくある誤解です。定期と任意の違いは、必ずしも必要度の違いではなく、医学的理由ではなく政策的理由による判断から生じる違いです。
今回の「8倍未満」というのも医学的な理由だけではなく、ワクチンの供給量をはじめとする諸種の要因を勘案して政策的に「公費負担する定期接種の対象は8倍未満」としたものであって、「8倍未満以外は接種不要」と判断したものでは無いのです。
風疹の流行を繰り返さないために望ましい接種対象の中から、ワクチン供給量などの条件の枠内に収めるために、限定した対象としたのが「8倍未満」なのです。

来年度のどの時点からスタートするのかはまだ決定されていない今回の定期接種。この対象だけでは不十分であり、また定期接種化が始まるまでにまだまだ時間があるのですから、風疹の流行を防ぐために必要な「確実に接種歴があることを確認できる方以外は、速やかにワクチンを接種する」ことを定期接種化を待たずに進めてほしいと思います。
もちろん、定期接種がスタートしても、8倍・16倍の方には任意接種となりますがワクチンを接種していただきたいです。
そして、成人男性が任意接種を受ける場合に、ぜひ検討してほしいのが、同じく接種費用が掛かるのであすから、MMRワクチンの接種を検討していただきたいと思います。
定期接種の対象を大幅に制限するのは、MRワクチンの供給量が限られているという面が非常に大きかったもので、定期接種の対象を絞ったからといってMRワクチンの供給量が増えるわけではありません。「ワクチン不足」をどう解消するのかというのが風疹対策の大きな課題の一つといえます。
このMRワクチンの供給量という制約を受けないのが、個人輸入によるMMRワクチンを接種すること、です。
もちろん、個人輸入といっても被接種者が自分で手続きして輸入するということではなく、接種する医師がワクチンを確保します。
MMRワクチンであれば、MRワクチンには無いもう一つの「M=ムンプス(おたふく風邪)」を予防することもできます。ムンプスも罹患を十分に防げていませんし、ムンプスによる難聴例も毎年数多く生じていることを考えれば、同じく費用負担するならばMRワクチンではなくMMRワクチンを選択することに相応のメリットがあると言えます。
MMRワクチンは国内未承認のワクチンですが、海外では既に承認・使用されており、日本人であっても国外に居住する場合など、当該国の予防接種プログラムで接種することになるワクチンであると考えれば良いと思います。

風疹の流行を受けて講じられた追加的対策による定期接種化ですが、本来ならば同じくMRワクチンで防ぐ麻疹(はしか)や、定期接種化されておらず対策が手つかずのままのムンプスの速やかな予防も考える必要があります。
その中で、特に風疹の流行に直面して、限られたリソースを最大限、政府の立場で活用しようと提案されたのが今回の策なのであり、本来期待される感染症予防の観点からは、今回の策だけでは十分ではありません。
「これでもう大丈夫!」、そのような誤解が生じないよう、定期接種の対象とならなくても必要な予防接種は受けましょう、ということを広く伝えていかなければならないと考えております。
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